神戸文学館で、没後40年 高橋和巳 人と文学という講演がありました。
高橋和巳、これは私にとって苦い、切ない、どうしようもない時代の中での忘れられない名前です。あの時代の言いようのないむなしさが、これほどまで長く私の意識を動かしているとは思わなかった。もう済んだことと思っていたはずでしたが。
先着50名というのですぐに予約をして、今日行ってみると10名くらいの中年~老年の方々が参加されていました。講師は東口昌央氏で、年譜に従って作品を解説されました。私はもう忘れかけた作品を何とか思い出しながら彼の心の移ろいを聴いていました。
高橋和巳を取り上げる人はもうほとんど居なくなっています。過去の人です。作品も1作品を除いてすべて絶版です。古書店でしか手に入りません。
大学が封鎖中で何もすることがなく、下宿で何とか心の支えをと読んでいたころが思い出されます。それが今はどうなったかわかりません。実家に送った本はすでに捨てられているでしょう。手元にはほとんど残っていません。
講師の解説で、当時、全共闘を支持し孤立した彼にも利己的な一面が見えるとの指摘があったが、出版された以外の資料を示しての指摘には事実の一端があるのかも知れないが、’73年生まれの講師で、その時代を資料だけで分析する者に何が解るかという思いでした。
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