2018年3月25日日曜日

悲しい物語

アグリと奥須磨公園を散歩していた時、林の中に捕獲箱が設置されているのを見ました。


奥須磨公園には、多くの野良猫と1匹の迷い犬が住んでいます。黒い雑種で私も散歩の途中に何度か見かけました。多井畑厄神の境内や公園の林の中にじっと佇んでいることが多いのですが、時々通路を歩いていることがあります。


私達は勝手に「クロ」と呼んでいます。大人しくて、人が来ると避けて攻撃するようなことはありません。


しかし、この公園は子供連れが多く、犬に慣れていない人にとっては恐怖なのでしょう。誰かが保健所に通報して捕獲箱の設置を依頼したのだと思います。


この捕獲箱を見て、悲しい物語を思い出しました。

阪神淡路大震災で高倉台の桜公園に仮設住宅が建設され,多くの被災者の方が入居されました。数年して仮設住宅を退去する時1匹の犬が残されました。おそらく集合住宅への移設で連れていけなかったのでしょう。


その犬は白と茶の雑種で、足の先が白いので我家では「アシシロ」と呼んでいました。高倉台や多井畑南町周辺を歩き回っていました。近づくのですが、それ以上に懐くことはしませんでした。ムサシとの散歩の途中によく出合ったものです。


そんな犬をほってはおけず、高倉台の奇特な方達が、懐かせようとしたのですが、前の主人を忘れられないのか、誰かに身を寄せることはありませんでした。それでも高倉台の方達は食事を用意し、「のんちゃん」と呼んでずっと見守っておられたようです。

しかし、高倉台や多井畑でも野良犬に恐ろしい思いを持っている人がいたのでしょう。誰かが通報し、とうとう捕らわれて保健所に連れて行かれることになったのです。


保健所に連れて行かれる前に、お世話になった人達の家の前を通って車に乗ったそうです。散歩の途中で出会ったご婦人が、涙ながらに語っておられました。


地震さえなかったら、アシシロもこんな運命を背負うことは無かったでしょうに。私達も何度も出会った犬です。思い出しては涙しています。


アシシロが連れて行かれてから、面倒を見ておられた高倉台の有志の方が、おらが山の中腹の桜公園が見渡せる場所に花を飾り水を置いておられます。アグリと散歩で通るたびに家内は立ち止まり「アシシロちゃん」と話しかけています。

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